第3回 パースニップのバター炒め

大きな一軒家を皆で分け合って暮らすというのは、
小さなワンルームに住むより、ずっと快適だし、
なにより仲間がいて安心ですね。
イギリスはもとより、ヨーロッパではとてもポピュラーな暮らし方です。 

日本でも、最近ようやくシェアハウスが増えてきましたが、
以前はそうでもありませんでした。 
その昔、私も友達と住みたいと探したことがありましたが、
不動産屋の入り口で追い返されたことを思い出します。
もっと日本でも広まれば楽しいですね。

 
私たちがお世話になったRachaelの住む家は、
イラストレーターのPola、ギタリストのJake、
そしてRachaelが日本で出会った縁でやってきたKanoの4人で暮らす
シェアハウスです。

皆、それぞれアーティストとして才能あふれる人たち。
そばに頑張っている人がいることで、刺激を受け合えるのも素敵です。

家のつくりは、日本でいう長屋式になっています。
タウンハウスと呼ばれるそうで、ベッドタウンではとてもポピュラーな光景だそう。
ストリートには気持ちのよいくらい整然と家並みが続きます。

日本の長屋のイメージとはかなり違い、
それぞれの家には庭もついていますし、
中も5LDKと、とても広々。

それぞれの家のドアは、とてもカラフル。
同じような家が続くのに、個性があって見飽きることがありません。
自分の家がすぐに見つかるように、という意味もあるかもしれませんね。

気付けば、大好きなブルーのドアばかり、カメラに収めていました。

このカラフルなドアにすっかり感化され、
私も、新しい家のドアを水色に塗ってしまいました。

建物の雰囲気があまりにも違うので、同じようにはいきませんでしたが、
帰宅するたびに、楽しい気持ちになるので、とても気に入っています。

 
さて、また八百屋で野菜を調達。
キッチンを借りての料理が日課となってきました。
今日は念願のパースニップに挑みます。

上部左から、パープルスプラウティング、
穂先が紫色をしたブロッコリーの芽で、イギリスの伝統品種。
隣がサボイキャベツ(ちりめんきゃべつ)、
真ん中の紫色はルタバガ、カブに似ていて、スウィードとも呼ばれます。
その隣の土色がパースニップ、人参、
そして手前がフィールドマッシュルームです。

パースニップは、見た目が人参と似ていますね。
写真では赤土色がついていますが、洗うと白い肌が見えてきます。
同じセリ科の植物なので、人参の兄弟といってもいいですね。

調理してみると、人参よりは早く火が通り、
けれど煮崩れしないという面白い特徴がありました。

味はセリ科らしい香味と甘みがあり、
例えるなら甘めのごぼうといった感じでしょうか。
香味をいかして、香ばしくローストすると格別です。
スープに入れたり、煮込んだりすると、
じゃがいものようなほくほく感も出ます。

きっと人参を栽培している場所なら、
パースニップもたやすく育てられるはず。
日本でポピュラーでないのが残念で仕方ありません。

すぐに火が通ることがわかったので、
イギリス流にバターで炒め、
キッチンにあったローズマリーを加えて仕上げました。

ついでに、ちりめんきゃべつの煮込みと
パープルスプラウティングのごま和えも作り、
Rachaelが作ってくれたシェパーズパイも加え、
庭に出て、皆でランチとなりました。

一番奥がJake、左隣がKano、左端に手だけ映っているのがPola、
右端の手はsmall colorのオオニシです。

イギリスにはめずらしく、
とても気持ちのよい日差しが降り注ぐ午後。
外で頂くランチは格別の美味しさです。

片言の英語でもだんだんと話も通じるようになって、
なんとも楽しい時間です。

Polaが、今日買った雑誌にあなたたちのことが載っていたわよ!と
記事を見つけ、教えてくれました。

(イギリスの)南西部ではこんなイベントが!
といったところでしょうか。

雑誌の記事の中、4の数字のところに
small colorの紹介があります。

海外に演奏にやってきたのだなあと実感して、感激。

「This sharp Japanese duo」
として紹介が始まるsmall colorの音楽は「flourish」と表現されていて、
その意味がいまいちわからず、また説明も難しいらしく、
話は延々と続きました。
 

そうです。料理ばっかりしているようですが、
私たちは演奏するために、イギリスにやってきたのです。
次回こそ、少し音楽の話をしたいと思います。

(2011年6月21日更新)

コラム

パースニップのバター炒め

材料(2人分)
パースニップ 2本(約200g)、 バター 20g、 塩 小さじ 1/3、 ローズマリー(あれば) 適宜

1)パースニップは乱切りに、あればローズマリーをみじん切りにする。
2)フライパンにパースニップ、バターを入れ、バターが焦げ付かないよう炒める。
3)全体にバターがまわったら、塩、ローズマリーを加え、全体を混ぜ合わせる。


良原リエ プロフィール

良原リエアコーディオン、トイピアノなど、ノスタルジックな味わいを持つ楽器を得意とする音楽家。プリペアドピアノも研究中。ソロプロジェクトのtrico!では、Flyrecより「Love home」「Everyday trip」を、ギタリストのオオニシユウスケとのユニットsmall colorでは、New Yorkのレーベル、12kより「In Light」をリリース。海外から高い評価を得て、2010年にはヨーロッパ6カ国のツアーも成功させている。良原リエ名義では、空気公団、World's end girlfriendをはじめとする数多くのアーティストのライブ、レコーディングの他、CM、TV、映画、アートアニメーションの音楽など、プレイヤー、アレンジャー、作曲家として様々なジャンル、楽器で関わっている。最近では、アコーディオンのミュゼットアルバム「Les musettes dans un corbeille a fleurs ~花籠のミュゼット~」をプロデュース。シリーズ化されることになり、次回作が2011年秋にリリース予定。またライフワークの料理でも、雑誌やwebなどで、レシピ、スタイリングを担当。現在、2011年秋発売の初の料理本と、トイピアノのアルバムを平行して製作中。
http://www.tricolife.com/
http://www.smallcolor.com/

【お知らせ】
良原さんがナビゲーターをつとめるラジオ番組「庭とご飯と音楽と」がJJazz.Netにてスタートしました!ゲストを迎えてのおしゃべりや、旬のレシピ紹介、生演奏など盛りだくさんの内容です。ぜひチェックしてみてくださいね!(毎月第2水曜日更新)
<いつでもお好きな時間に聴けるオンデマンドスタイル、
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音楽家の台所2

音楽家の台所2音楽家・良原リエさんによる、エッセイ+レシピ。ヨーロッパでの演奏旅行中に出会った人々とのふれあいの様子や、その土地にまつわる素材や料理を、自身の撮った写真と共に紹介します。「いろいろな国で出会った美味しいご飯の記憶と記録です。旅の途中でときどきは、自分でも料理をしました。」というご本人のコメント通り、リエさんの視点を通すことで、「誰かの日常」が、あなたに新しい発見をもたらしてくれるはず。一緒に旅をする気分を味わいながらご覧下さい。
(2011年5月より隔週火曜日更新)

【お知らせ】
このブログの前身である 『音楽家の台所』 の書籍企画が進行中!
2011年・秋に刊行予定。