第17回 フリッツのマヨネーズがけ
オランダでは、Dordrecht(ドルドレヒト)
でライブでした。
Rotterdamからほど近い場所にあります。
運河に沿うように、
中世のような古い街並みを残す
とても美しい街です。
こちらはライブをするギャラリーcbkにあった街の地図。
とてもこじんまりとした街なので、
一日あればぐるりと一回りできるほどです。
ところで、Dordrechtの街を歩くと、
どうしても突っ込まないわけにはならない
建物をたくさん見かけることになります。
右側に並ぶ建物をよく見てみてください。
ひとつひとつ建物が、
随分と好き勝手な方向を向いていると思いませんか?
前に傾斜してたり、左に倒れていたり。
ゆがみまくりで、ガッタガタです。
左側の建物がたまたままっすぐなので、
それを基準にするとよくわかると思います。
もう少し近づいてみるとわかるでしょうか。
手前から3つ目の建物は、後ろに反り返り、
4つ目の建物との間に、ズレた部分がしっかりと確認できます。
見事なズレ具合です。
なんて面白いんでしょう!
オオニシは平衡感覚がなくなり、
とても気持ちが不安定になると嘆いていましたが、
私は、それぞれの建物に妙な愛嬌を感じて、
見れば見るほど、楽しくてたまらなくなりました。
この建物は窓もゆがんでいますね。
不思議の国に迷い込んだ気分です。
ライブの時に、この街の建物のゆがみが
気になって仕方ないとMCで話すと、
お客さまがそれぞれ笑いながら教えてくれました。
もともと地盤がゆるいので、長い年月をかけてゆがんだこと。
年代によっては、荷物を運びいれやすいよう、
わざわざ前に傾斜するように建てられたものもあること。
だって建物の下は、泥と砂だもん、しょうがないよー。
と言う人も。
日本でだったら、すぐに壊して建て直すでしょうが、
地震がないこともあって、ゆがんでもそのまま楽しんでしまう、
とてもおおらかで、そして古い物を大切にする心が
あるのだなあと思いました。
そんな話を聞いて、なおさら建物見物が面白くなりました。
さらにもうひとつ、とても面白いイベントに遭遇しました。
これはちょうど街の真ん中あたり、
旧市街の小さなレストランが軒を連ねる
Nieuwstraatという通りで行われていました。
“Langste Hight Tea(一番長いハイ・ティー)”と題され、
テーブルを先が見えなくなるほどつなげ、
皆さんとても楽しそうに料理を頂いています。
見事な長さです。
私達がたまたま遭遇したこのときは
初めての試みだったそうですが、
好評で、その後、毎年開催されているとか。
今度はぜひ、このイベントにも参加してみたいものです。
さて、オランダと言えば、
切っても切り離せないのが
フライドポテトかもしれません。
フリット、フリッツと呼ばれています。
街を少し歩けば、
フリッツのお店を簡単に見つけることができます。
そして街行く人の多くがフリッツ片手に、
美味しそうにほおばっているのです。
こちらは、スキポール空港で小腹が空いて
頂いたフリッツです。
たっぷりとかかったソースは
なんとマヨネーズ。
揚げているだけでも油っこいのに、
さらに大量のマヨネーズ?と目を疑いたくなりますが、
どうやらオランダではマヨネーズをかけるのが基本なようで、
かけていない人を探すほうが難しいくらいなのです。
冬は氷点下になるのも当たり前なほど
寒いオランダなので、油っこいものを食べて
体を暖めようという考えもあるのだそうです。
(根拠はわかりませんが。)
郷に入れば郷に従え、ですので、
もちろんマヨネーズがけにトライしてみました。
マヨネーズの酸味がプラスされて、
思っていたよりもずっと美味しいです。
しかし、ものすごい食べ応えでもあります。
マヨネーズの量も半端ではありませんから、
お腹いっぱいになる、なんてもんじゃありません。
若者ならば、楽しくて仕方ない味。
私達には半量でも充分だったかな、
というのが率直な感想です。
ここDordrechtでも、フリッツを頂きました。
やっぱり街で食べている人を見かけると、
ついつい注文したくなるものです。
けれど前回の教訓を胸に、
『マヨネーズなしで』と伝えました。
お店のお兄ちゃんは、
『え?なしで?』と聞き返され、
『ほんとうにいいの?』と言わんばかりの怪訝な顔で
フリッツを手渡してくれました。
オランダではフリッツにマヨネーズは
切っても切り離せない関係ということなんですね。
お兄ちゃんの顔からそれがしっかりと伝わってきましたよ。
(2012年2月14日更新)
フリッツのマヨネーズがけ
材料(2人分)
じゃがいも 3〜4個、 塩 少々、 小麦粉 大さじ1、 揚げ油 適量
マヨネーズ:卵黄1個分、 オリーブオイル カップ1、
塩 小さじ1/3、 胡椒 少々、 マスタード 小さじ2、
酢(またはレモン汁) 小さじ2
1)卵は室温に戻しておく。
じゃがいもは皮ごと、5ミリほどの厚さに切って、水にさらす。
ざるなどにあげて水気を良く切る。
2)ビニール袋などに1)と小麦粉、塩を加えてよく振り、全体にまぶす。
3)高温(180度程度、衣を鍋に落とすと、すぐに散る)に熱した油で、
きつね色になるまで揚げる。
4)マヨネーズを作る。ボウルに卵黄を入れ、油を少しずつ注ぎ、
泡立て器やハンドミキサーなどで絶えず混ぜる。
ねっとりとクリーム状になってきたら、残りの材料を加え、よく混ぜ合わせる
5)器にポテトフライを盛り、マヨネーズをたっぷり添える。
*じゃがいもは二度揚げするとさらにさっくりと仕上ります。
*マヨネーズは市販のもので構いません。




























アコーディオン、トイピアノなど、ノスタルジックな味わいを持つ楽器を得意とする音楽家。プリペアドピアノも研究中。ソロプロジェクトのtrico!では、Flyrecより「Love home」「Everyday trip」を、ギタリストのオオニシユウスケとのユニットsmall colorでは、New Yorkのレーベル、12kより「In Light」をリリース。海外から高い評価を得て、2010年にはヨーロッパ6カ国のツアーも成功させている。良原リエ名義では、空気公団、World's end girlfriendをはじめとする数多くのアーティストのライブ、レコーディングの他、CM、TV、映画、アートアニメーションの音楽など、プレイヤー、アレンジャー、作曲家として様々なジャンル、楽器で関わっている。最近では、アコーディオンのミュゼットアルバム「Les musettes dans un corbeille a fleurs ~花籠のミュゼット~」をプロデュース。シリーズ化されることになり、次回作が2011年秋にリリース予定。またライフワークの料理でも、雑誌やwebなどで、レシピ、スタイリングを担当。現在、2011年秋発売の初の料理本と、トイピアノのアルバムを平行して製作中。

音楽家・良原リエさんによる、エッセイ+レシピ。ヨーロッパでの演奏旅行中に出会った人々とのふれあいの様子や、その土地にまつわる素材や料理を、自身の撮った写真と共に紹介します。「いろいろな国で出会った美味しいご飯の記憶と記録です。旅の途中でときどきは、自分でも料理をしました。」というご本人のコメント通り、リエさんの視点を通すことで、「誰かの日常」が、あなたに新しい発見をもたらしてくれるはず。一緒に旅をする気分を味わいながらご覧下さい。